メタジェンセラピューティクス株式会社の情報

山形県鶴岡市覚岸寺字水上246番地2

メタジェンセラピューティクス株式会社についてですが、推定社員数は1~10人になります。所在地は鶴岡市覚岸寺字水上246番地2になり、近くの駅は鶴岡駅。株式会社サリバテックが近くにあります。また、法人番号については「3390001015963」になります。
メタジェンセラピューティクス株式会社に行くときに、お時間があれば「大寶館」に立ち寄るのもいいかもしれません。


法人名フリガナ
メタジェンセラピューティクス
住所
〒997-0052 山形県鶴岡市覚岸寺字水上246番地2
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推定社員数
1~10人
周辺のお天気
周辺の駅
1駅
JR東日本羽越本線の鶴岡駅
地域の企業
3社
株式会社サリバテック
鶴岡市覚岸寺字水上246番地2
有限会社けさらんファーム
鶴岡市覚岸寺字水上196番地1
ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社
鶴岡市覚岸寺字水上246番地2
地域の観光施設
3箇所
大寶館
鶴岡市馬場町4-7
鶴岡アートフォーラム
鶴岡市馬場町13-3
致道博物館
鶴岡市家中新町10-18
法人番号
3390001015963
法人処理区分
新規

順天堂大学革新的医療技術開発研究センター 先任准教授 奥澤 淳司氏が、メタジェンセラピューティクスのアドバイザーとして就任
2023年11月15月 10時
腸内細菌研究に基づいた医療・創薬を推進するメタジェンセラピューティクス株式会社(本社:山形県鶴岡市、代表取締役社長CEO:中原拓)のアドバイザーとして、順天堂大学 革新的医療技術開発研究センター 先任准教授/副センター長 奥澤 淳司 氏が就任したことをお知らせいたします。
メタジェンセラピューティクスは、腸内細菌叢移植(FMT)の社会実装に向けた腸内細菌叢バンクの構築や、マイクロバイオーム創薬を進めています。この度、順天堂大学 革新的医療技術開発研究センター 先任准教授/副センター長として、新たな治療の研究推進や医薬品のシーズの発掘および研究成果の速やかな社会還元に関して豊富な経験と知識を持つ奥澤氏の参画により、腸内細菌科学に基づく革新的な医療と医薬品の実現を加速してまいります。
弊社アドバイザーへの就任にあたり、奥澤氏は以下のように述べています。

腸内細菌研究医療

「私は、メタジェンセラピューティクスの『マイクロバイオームサイエンスで患者さんの願いを叶え続ける』というミッションに深く共感しています。近年、腸内細菌を用いた医療や医薬品開発の研究開発が世界で活発に進められています。日本でこの新たな治療を患者さんに届ける力添えをできればと考え、日本における腸内細菌医療と創薬のリーディングカンパニーである同社に、アドバイザーとして参画させていただくことになりました。腸内細菌研究の成果を、医療や医薬品という形で一日も早く社会に還元し、より多くの患者さんの願いを叶え続けられるよう、サポートしてまいります。」
奥澤氏の参画により、弊社アドバイザーはアクテ・セラピューティクス社CEO/元バイオームバンク社CEOのトーマス・ミッチェル氏、株式会社Flox Bio共同創業者兼代表取締役の山本憲幸氏の3名となりました。メタジェンセラピューティクスは、日本発の”グローバル・マイクロバイオーム・スペシャリティファーマ“として、日本や世界の患者さんに腸内細菌研究に基づく医療や医薬品を提供すべく邁進してまいります。
奥澤 淳司氏のプロフィール 
医師、医学博士。消化器一般外科、特に鏡視下手術を専門とする。順天堂大学医学部を卒業後、同大学 医学部消化器外科学講座下部消化管外科 准教授を経て、2017年、同大学 革新的医療技術開発研究センター 先任准教授/副センター長に就任。同大学 メディカルイノベーション調査室 室長、同大学 医学部附属順天堂医院臨床研究・治験センター 副センター長、同大学 健康総合科学先端研究機構 バイオリソースリサーチセンター 副センター長を併任する。厚生労働省医政局研究開発振興課治験推進室 室長補佐、同省保健局医療課 課長補佐を歴任。
マイクロバイオームとは
マイクロバイオームは、腸内や皮膚・口腔などヒトの体のいたるところに存在する細菌全体を意味します。特に、ヒトの腸内には約40兆個*に上るといわれており、ヒトの健康に大きな影響力を持っていることが近年明らかになってきています。
* Sender, R., Fuchs, S. & Milo, R. Revised Estimates for the Number of Human and Bacteria Cells in the Body. PLoS Biol. 14, e1002533 (2016)
腸内細菌叢移植(FMT)とは
腸内細菌叢移植(FMT)は、健康な人の便に含まれている腸内細菌叢を、疾患を持つ患者さんの腸に大腸内視鏡を用いて移植し、腸内マイクロバイオームの異常(ディスバイオーシス)を改善する医療技術です。順天堂大学では2014年の臨床研究開始以来、200名以上*の潰瘍性大腸炎の患者さんに対するFMTの実績を積み重ね、研究成果を複数の海外トップジャーナルに発表しています。
*順天堂大学医学部付属順天堂医院 消化器内科「潰瘍性大腸炎に対する腸内細菌叢移植」
https://www.juntendo.ac.jp/hospital/clinic/shokaki/about/treatment/intestinal_microbiota1.html
メタジェンセラピューティクス株式会社について
メタジェンセラピューティクス株式会社は「マイクロバイオームサイエンスで患者さんの願いを叶え続ける」ことをミッションとして、腸内細菌研究に基づいた医療と創薬でソーシャルインパクトを生み出す大学発ベンチャーです。順天堂大学の医師と慶應義塾大学、東京工業大学の研究者が共同創業し、「腸内細菌叢移植療法(FMT)」の社会実装と、「FMT起点のリバーストランスレーショナル創薬」を推進しています。現在メタジェンセラピューティクスでは人材採用を積極的に進めております。募集中のポジションはhttps://www.metagentx.com/carrers/をご覧ください。募集中のポジションに当てはまるものがなくとも、マイクロバイオームサイエンスでイノベーションを起こす仲間に入っていただける方は hr@metagentx.com までご連絡ください。
<会社概要>
会社名:メタジェンセラピューティクス株式会社(略称 MGTx)
本社所在地:山形県鶴岡市覚岸寺字水上246-2
東京事務所:東京都港区虎ノ門1丁目17-1 虎ノ門ヒルズビジネスタワー 15階
代表者:代表取締役社長CEO 中原拓
設立日:2020年1月17日
事業内容:マイクロバイオームサイエンスを活用した創薬・医療事業
URL:https://www.metagentx.com

メタジェンセラピューティクス、経済産業省による豪州・スタートアップミッションに参加
2023年10月11月 14時
腸内細菌研究に基づいた医療・創薬を推進するメタジェンセラピューティクス株式会社(本社:山形県鶴岡市、代表取締役社長CEO:中原拓)は、2023年10月7日から8日まで豪州メルボルンで開催された、経済産業省によるスタートアップミッションに参加しました。



本スタートアップミッションは、西村経済産業大臣の豪州訪問を機に、海外展開を目指すスタートアップ企業の支援を目的とし、開催されました。メタジェンセラピューティクス 代表取締役社長CEO 中原 拓は、日本のスタートアップ企業12社からなるミッションメンバーの一員として、メルボルン大学内のインキュベーション施設「メルボルンコネクト」の視察や、現地のベンチャーキャピタルやスタートアップ企業との意見交換を行いました。
本スタートアップミッションへの参加について、弊社CEO 中原は以下のように述べています。
「豪州は、世界においてもマイクロバイオーム医薬品開発が最も進んでいる国のひとつです。米国における便由来経口製剤の承認をきっかけに、世界ではいま、腸内細菌研究に基づく医療や医薬品の開発が活発に行われています。私たちは、この新たな治療オプションを日本の患者さんたちに、そして日本発のマイクロバイオーム医薬品を世界の患者さんたちに1日でも早くお届けするため、研究開発に取り組んでいます。今回のスタートアップミッションへの参加を通じて、その想いはさらに一層強まりました」
メタジェンセラピューティクスは、経済産業省より、グローバルに活躍するスタートアップを創出する「J-Startup」に選定されています。日本における腸内細菌研究に基づいた医療と創薬のリーディングカンパニーとして、そして、日本発の”グローバル・マイクロバイオーム・スペシャリティファーマ“として、日本や世界の患者さんに腸内細菌研究に基づく医療や医薬品を提供すべく邁進してまいります。
マイクロバイオームとは
マイクロバイオームは、腸内や皮膚・口腔などヒトの体のいたるところに存在する細菌全体を意味します。特に、ヒトの腸内には約40兆個*に上るといわれており、ヒトの健康に大きな影響力を持っていることが近年明らかになってきています。
* Sender, R., Fuchs, S. & Milo, R. Revised Estimates for the Number of Human and Bacteria Cells in the Body. PLoS Biol. 14, e1002533 (2016)
メタジェンセラピューティクス株式会社について
メタジェンセラピューティクス株式会社は「マイクロバイオームサイエンスで患者さんの願いを叶え続ける」ことをミッションとして、腸内細菌研究に基づいた医療と創薬でソーシャルインパクトを生み出す大学発ベンチャーです。順天堂大学の医師と慶應義塾大学、東京工業大学の研究者が共同創業し、「腸内細菌叢移植療法(FMT)」の社会実装と、「FMT起点のリバーストランスレーショナル創薬」を推進しています。現在メタジェンセラピューティクスでは人材採用を積極的に進めております。募集中のポジションはhttps://www.metagentx.com/carrers/をご覧ください。募集中のポジションに当てはまるものがなくとも、マイクロバイオームサイエンスでイノベーションを起こす仲間に入っていただける方は hr@metagentx.com までご連絡ください。
<会社概要>
会社名:メタジェンセラピューティクス株式会社(略称 MGTx)
本社所在地:山形県鶴岡市覚岸寺字水上246-2
東京事務所:東京都港区虎ノ門1丁目17-1 虎ノ門ヒルズビジネスタワー 15階
代表者:代表取締役社長CEO 中原拓
設立日:2020年1月17日
事業内容:マイクロバイオームサイエンスを活用した創薬・医療事業
URL:https://www.metagentx.com

発熱がウイルス性肺炎の重症化を抑制するメカニズムを解明
2023年07月07月 14時
――重症化の抑制には38℃以上の体温で活性化した腸内細菌叢が必要だった――発表のポイント
◆体温が38℃以上になるとインフルエンザウイルスや新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する抵抗力が上がることを世界で初めて明らかにした。
◆体温の上昇により活性化した腸内細菌叢は、体内の二次胆汁酸レベルを増加させて、ウイルスの増殖およびウイルス感染による炎症反応を抑えていることが分かった。
◆二次胆汁酸は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症度を予測しうるバイオマーカーになることが分かった。また胆汁酸受容体を標的にすることによりウイルス性肺炎の重症化を抑える新しい治療薬の開発などに繋がることが期待される。

重症化の抑制38℃

発熱がウイルス性肺炎の重症化を抑制するメカニズム
発表概要
東京大学医科学研究所の一戸猛志准教授と、慶應義塾大学先端生命科学研究所の福田真嗣特任教授、順天堂大学大学院医学研究科総合診療科学の内藤俊夫教授らによる研究グループは、38℃以上に上昇した体温(発熱)が腸内細菌叢の活性化を介して二次胆汁酸量を増加させ、ウイルス性肺炎の重症化を抑制することを分子レベルで明らかにすることに成功しました。
これまで外気温や体温がウイルスに感染した場合の重症度に与える影響についてはほとんど分かっていませんでした。外気温や体温がウイルス感染後の重症度に与える影響を解析するため、さまざまな温度条件で飼育したマウスにインフルエンザウイルスを感染させた場合の重症度を解析しました。すると36℃条件下で飼育したマウスでは体温が38℃を超えるようになり、インフルエンザウイルスのみならずSARS-CoV-2の感染に対しても高い抵抗力を獲得することが分かりました。
22℃で飼育したマウス(体温は37℃前後)と36℃条件下で飼育して体温が38℃を越えたマウスの血清と盲腸内容物のメタボローム解析を行ったところ、体温が38℃を越えたマウスの体内では胆汁酸レベルが有意に増加しており、特に盲腸内容物中では二次胆汁酸量が有意に増加していることを見出しました。
また22℃で飼育したマウスやハムスターにデオキシコール酸(DCA)やウルソデオキシコール酸(UDCA)などの二次胆汁酸を与えると、インフルエンザウイルスやSARS-CoV-2感染後の生存率が有意に改善することを明らかにしました。
さらにCOVID-19患者から採取した血液サンプルを解析したところ、胆汁酸レベルが軽症患者グループと比較して中等症I/II患者グループで有意に低下していることが明らかとなりました。このことはヒトにおいてもCOVID-19の重症度と胆汁酸レベルに逆相関関係があることを示しています。
本研究成果は、体温が38℃以上に上昇することにより腸内細菌叢が活性化し、二次胆汁酸産生を介してウイルス感染後の重症化予防に役立っていることを分子レベルで明らかにした世界初の成果であり、高齢者がインフルエンザやCOVID-19で重症化しやすくなるメカニズムの解明や、宿主とウイルスの共生メカニズムの解明、胆汁酸受容体を標的としたウイルス性肺炎の重症化を抑える新しい治療薬の開発などに繋がることが期待されます。本研究成果は2023年6月30日、英国科学雑誌「Nature Communications」オンライン版に掲載されました。
発表内容
これまで外気温や体温がウイルス感染後の重症度に与える影響について詳細に解析された例はありませんでした。東京では夏に気温が36℃に達することもある一方、1月の平均最低気温は約4℃まで低下します。またインフルエンザや新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の死亡率は、高齢者で高くなることが知られています。高齢者は筋力の低下などが原因で基礎体温が低下することから、研究グループは外気温や体温に着目し、それらがインフルエンザウイルスやSARS-CoV-2に対する抵抗力に与える影響について解析しました。
外気温や体温がインフルエンザウイルス感染後の重症度に与える影響を解析するため、マウスを4℃、22℃、36℃条件下で7日間飼育しました。すると22℃飼育マウスと比較して4℃飼育グループではマウスの基礎体温が有意に低下することが分かりました(図1a)。逆に36℃条件下で飼育した場合、マウスの基礎体温は38℃を越えるようになることも分かりました(図1a)。
このマウスにインフルエンザウイルスを経鼻的に感染させ、ウイルス感染後も各温度条件下で飼育したところ、22℃飼育グループと比較して、4℃飼育グループではウイルス感染後に重症化した一方、36℃飼育マウスでは致死的なウイルス感染に対して抵抗力を獲得していることが分かりました(図1b)。同様に36℃飼育マウスでは致死的なSARS-CoV-2感染に対して抵抗力を獲得していることが分かりました(図1c)。

重症化の抑制38℃

図1:外気温がマウスの基礎体温やインフルエンザウイルス感染後の重症度に与える影響
(a)マウスを各温度条件下で飼育して、ウイルスを感染させる前のマウスの基礎体温を測定した。〇印はそれぞれのマウスの値を表す。(b,c)各温度条件で飼育したマウスにインフルエンザウイルス(b)またはSARS-CoV-2(c)を感染させ、感染14日後までの生存率を観察した。
36℃条件下で飼育したマウスの体温が38℃を越えるようになるとウイルス感染に対する抵抗力が高くなる理由として、発熱により温められた体内の腸内細菌叢が活性化しているのではないかと考えました。
この仮説を検証するため、通常のエサと水道水を与えたコントロールグループ、低食物繊維食と水道水を与えた低食物繊維食グループ、通常のエサと抗生物質を混ぜた水道水を与えた抗生物質グループに分け、このマウスを36℃条件下で飼育したあと、インフルエンザウイルスを経鼻的に感染させました。するとどのグループもウイルス感染前後の体温は38℃以上に保たれていたものの(図2a)、低食物繊維食グループや抗生物質グループはインフルエンザウイルス感染に対する抵抗力が失われていることが分かりました(図2b)。
このことから、インフルエンザウイルス感染に対する抵抗力の獲得には38℃以上の体温そのものではなく、発熱により温められた際の腸内細菌叢の活性化が重要であることが示唆されました。

重症化の抑制38℃

図2:体温が上昇した場合のウイルス感染に対する抵抗力には腸内細菌叢由来代謝物質が重要である
(a,b) 36℃条件下で飼育したマウスに通常のエサまたは低食物繊維食、飲み水として水道水または抗生物質水を与えた。インフルエンザウイルスを感染させ、感染14日後までのマウスの体温(a)および生存率(b)を観察した。
次にウイルス感染に対する抵抗力が高くなる36℃飼育マウスの体内で何が起こっているのかを解析するため、4℃、22℃、36℃で7日間飼育したマウスの血清サンプルを用いてメタボローム解析を行いました。すると一次胆汁酸(注1)であるコール酸や二次胆汁酸であるデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸の濃度が36℃飼育マウスの血中で有意に高くなっていることが分かりました(図3)。

重症化の抑制38℃

図3:36℃飼育マウスにおける血中胆汁酸レベルの増加
(a)デオキシコール酸の合成経路。コレステロールを材料に肝臓で一次胆汁酸(コール酸など)が合成される。一次胆汁酸が腸へ分泌されると腸内細菌の働きにより二次胆汁酸(デオキシコール酸など)へ変換される。(b,c) 4℃、22℃、36℃条件下で7日間飼育したマウスの血清のメタボローム解析を行った。(b)コール酸濃度。(c)デオキシコール酸濃度。(d)ウルソデオキシコール酸濃度。〇印はそれぞれのマウスの値を表す。
次に22℃飼育条件下のマウスに通常の水道水またはデオキシコール酸(DCA)やウルソデオキシコール酸(UDCA)を混ぜた水道水を与え、インフルエンザウイルスを経鼻的に感染させました。するとDCAやUDCAを与えたグループでは、肺のウイルス量や好中球(注2)の数が減少し(図4a,b)、インフルエンザウイルス感染後の生存率が有意に改善することが分かりました(図4c,d)。

重症化の抑制38℃

図4:デオキシコール酸によるインフルエンザ重症化抑制効果
22℃飼育条件下のマウスに通常の水道水または0.5mMのデオキシコール酸(DCA)(a-c)またはウルソデオキシコール酸(UDCA)(d)を混ぜた水道水を与え、インフルエンザウイルスを経鼻的に感染させた。(a)ウイルス感染2日目と3日目の肺のインフルエンザウイルスの量を示す。(b)ウイルス感染7日目の肺に浸潤した好中球の数を示す。(c,d)ウイルス感染14日目までのマウスの生存率。
次に胆汁酸受容体であるTGR5のアゴニストであるHY-14229がインフルエンザウイルスの増殖や炎症反応を抑制する効果を示すのかを調べるため、培養細胞やマクロファージにインフルエンザウイルスを感染させ、HY-14229存在下で24時間培養しました。するとHY-14229存在下では、インフルエンザウイルスの増殖やウイルス感染により誘導されるIL-1β(注3)の産生が抑えられていることが分かりました(図5)。

重症化の抑制38℃

図5:胆汁酸受容体アゴニストによるインフルエンザウイルスの増殖抑制効果
(a)MDCK細胞にインフルエンザウイルスを感染させ、TGR5アゴニスト(HY-14229)存在下で24時間培養した。24時間後の培養上清中のウイルス量をプラークアッセイ法で測定した。(b)マウス骨髄マクロファージにインフルエンザウイルスを感染させ、TGR5アゴニスト(HY-14229)存在下で24時間培養した。24時間後の培養上清中のIL-1β量をELISAで測定した。(c)TGR5アゴニスト(HY-14229)はインフルエンザウイルスの増殖およびウイルス感染により誘導される炎症反応を抑制していると考えられた。
最後にCOVID-19患者の重症度と血漿中の胆汁酸レベルに相関があるかどうかを解析しました。COVID-19患者を軽症、中等症I/IIのグループに分けると、確かに血漿中の重症化マーカーであるフィブリノーゲン(注4)が中等症I/IIグループで有意に高くなっていることが分かり(図6a)、逆に胆汁酸の一種であるグリシン抱合型コール酸(GCA)が中等症I/IIグループで有意に低くなっていることが明らかとなりました(図6b)。
このことはヒトにおいてもCOVID-19の重症度と胆汁酸レベルに逆相関関係があることを示しています。そこで22℃飼育条件下のハムスターに通常の水道水またはGCAまたはDCAを混ぜた水道水を与え、SARS-CoV-2を経鼻的に感染させるとGCAやDCAを与えたグループでは、SARS-CoV-2感染後の生存率が有意に改善することが分かりました(図6c,d)

重症化の抑制38℃

図6:COVID-19の重症度と胆汁酸濃度
(a,b) COVID-19患者の血漿中のフィブリノーゲン濃度(a)とGCA濃度(b)。(c,d) 22℃飼育条件下のシリアンハムスターに通常の水道水または0.5mMのGCAまたはDCAを混ぜた水道水を与え、SARS-CoV-2を経鼻的に感染させた。ウイルス感染から14日目までの生存率を観察した。
これらの知見を活かして、今後は高齢者がインフルエンザやCOVID-19で重症化しやすくなるメカニズムの解明や、宿主とウイルスの共生メカニズムの解明、胆汁酸受容体を標的としたウイルス性肺炎の重症化を抑える新しい治療薬の開発に向けた研究を推進する予定です。
発表者                                          
東京大学医科学研究所 感染症国際研究センター ウイルス学分野
 一戸 猛志(准教授)
 長井 みなみ <研究当時:大学院生>
 森山 美優 <研究当時:大学院生>
慶應義塾大学先端生命科学研究所
 福田 真嗣(特任教授)
 石井 千晴(研究員)
 平山 明由(准教授)
 石川 貴正(インフィニティ・ラボ株式会社 代表取締役)
順天堂大学大学院医学研究科
 内藤 俊夫(総合診療科学 教授)
 永原 章仁(消化器内科学 教授)
 石川 大(消化器内科学 准教授)
 森 博威(総合診療科学准教授)
メタジェンセラピューティクス株式会社
 中原 拓(代表取締役社長CEO)
 渡邊 日佳流(研究員)
京都大学
 木村 郁夫(教授)
東京工業大学
 山田 拓司(准教授)
論文情報                                          
〈雑誌〉Nature Communications
〈題名〉High body temperature increases gut microbiota-dependent host resistance to influenza A virus and SARS-CoV-2 infection
〈著者〉Minami Nagai#, Miyu Moriyama#, Chiharu Ishii#, Hirotake Mori, Hikaru Watanabe, Taku Nakahara, Takuji Yamada, Dai Ishikawa, Takamasa Ishikawa, Akiyoshi Hirayama, Ikuo Kimura, Akihito Nagahara, Toshio Naito*, Shinji Fukuda*, Takeshi Ichinohe*
#Equal contribution; *Corresponding author
〈DOI〉10.1038/s41467-023-39569-0
〈URL〉https://www.nature.com/articles/s41467-023-39569-0
研究助成
本研究は、一戸猛志准教授に対するワクチン開発のための世界トップレベル研究開発拠点の形成事業(JP223fa627001)、MSD生命科学財団、武田科学振興財団、鈴木謙三記念医科学応用研究財団、および福田真嗣特任教授に対する日本学術振興会科学研究費助成事業(22H03541)、科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業(JST ERATO)深津共生進化機構プロジェクト(JPMJER1902)、日本医療研究開発機構 革新的先端研究開発支援事業(AMED-CREST)(JP22gm1010009)、糧食研究会などの支援の下で実施されました。
用語解説
(注1)胆汁酸
胆汁酸には界面活性作用があり、腸で脂肪をミセル化して脂肪の吸収を促進している。腸へ分泌された一次胆汁酸は腸内細菌の働きにより二次胆汁酸へ変換される。
(注2)好中球
ウイルス感染などにより炎症が起こると、その炎症を目印に好中球が感染局所に集まってくる。好中球はウイルスや細菌などの病原体を見つけて貪食することにより病原体の排除に役立っている。また好中球は自身の二本鎖DNAにタンパク質分解酵素を絡ませた網状の構造からなる好中球細胞外トラップ(NETs: neutrophil extracellular traps)を細胞外に放出することにより病原体を補足・殺菌しているが、これが過剰な炎症反応を引き起こすことにより肺などの組織にダメージを与えてしまう場合がある。
(注3)IL-1β
ウイルス感染局所の炎症反応に関わるサイトカイン。IL-1βは好中球の遊走因子であるCXCL1を誘導して感染局所に好中球をリクルートすると同時に好中球にも作用して好中球細胞外トラップ(NETs: neutrophil extracellular traps)を誘導することも知られている。この NETs は肺組織障害や重症 COVID-19 患者でしばしばみられる血栓の原因のひとつとして考えられている。
(注4)フィブリノーゲン
血液凝固因子のひとつで、出血を止める働きがある。ウイルス感染などにより体内に炎症が生じると血中のフィブリノーゲンが増加する。COVID-19重症患者では血中のフィブリノーゲン値が高くなることが知られているため、COVID-19の重症化マーカーとして用いられている。

メタジェンセラピューティクス、世界最大規模のマイクロバイオーム学会「Microbiome Movement」ほか、主要学会にて研究内容を発表
2023年07月04月 14時
日本における「腸内細菌治療」の研究開発について、世界に向けて発信腸内細菌研究に基づいた医療・創薬を推進するメタジェンセラピューティクス株式会社(本社:山形県鶴岡市、代表取締役社長CEO:中原拓)は、2023年6月28日から30日まで米ボストンで開催された世界最大規模のマイクロバイオーム学会「8th Microbiome Movement」にて、日本における腸内細菌叢移植(FMT)の臨床開発についてなど、発表を行いました。また、パネルディスカッションでは、FDAのPrincipal Investigatorなどと、各国のマイクロバイオーム治療や医薬品開発における規制について、議論しました。



CEO中原による講演/CSO寺内による講演
メタジェンセラピューティクスは、Microbiome Movementのみならず、世界各国で開催されているマイクロバイオームの国際学会に参加し、日本における腸内細菌治療の研究内容に関して発表を行っています。各学会での発表内容は以下の通りです。
■2023年6月28日~30日開催 8th Microbiome Movement(米国ボストン)
・演題名「Clinical Development of Fecal Microbiota Transplantation for Ulcerative Colitis in Japan」
(メタジェンセラピューティクス株式会社 代表取締役社長CEO 中原 拓)
・演題名「International Spotlight: A new initiative for Microbiome Based Drug Discovery Ecosystem Creation in Japan as one of Government Funded Programs」
(一般社団法人日本マイクロバイオームコンソーシアム 運営委員長/メタジェンセラピューティクス株式会社 取締役CSO 寺内 淳)
・パネルディスカッション「Global Regulatory Perspectives: US, Asia & Europe Perspectives」
- Paul Carlson, Principal Investigator, FDA
- 一般社団法人日本マイクロバイオームコンソーシアム 運営委員長/メタジェンセラピューティクス株式会社 取締役CSO 寺内 淳
- Clara Desvignes, Director, Drugs, Medical Devices & Microbiome Based Products, VCLS



パネルディスカッション、左から VCLS Desvignes氏、 メタジェンセラピューティクス 寺内、FDA Carlson氏
■2023年5月16日~17日開催 Microbiome Connect ASIA 2023 (韓国ソウル)
・演題名「Microbiome Drug Discovery Based On Intestinal Flora Transplantation (FMT)」
(メタジェンセラピューティクス株式会社 代表取締役社長CEO中原 拓)



・演題名「Japanese Precompetitive Initiatives To Promote Microbiome-based Drug Discovery In Japan」
(一般社団法人日本マイクロバイオームコンソーシアム 運営委員長/メタジェンセラピューティクス株式会社 取締役CSO 寺内 淳)
■2023年4月22日開催6th Annual Conference of Taiwan Microbiota Consortium(台湾・オンライン参加)
・演題名「Recent Trends in Microbiome Based Drug Discovery Activities in Japan」
(一般社団法人日本マイクロバイオームコンソーシアム 運営委員長/メタジェンセラピューティクス株式会社 取締役CSO 寺内 淳)
■2023年3月21~22日開催 Pharmabiotics2023(仏リヨン)
・演題名「Challenges , Efforts and Initiatives to Promote Microbiome-based Drug Discovery in Japan」
(一般社団法人日本マイクロバイオームコンソーシアム 運営委員長/メタジェンセラピューティクス株式会社 取締役CSO 寺内 淳)



メタジェンセラピューティクスは、日本における腸内細菌研究に基づいた医療と創薬のリーディングカンパニーとして、今後も世界に向けた情報発信を行ってまいります。
マイクロバイオームとは
マイクロバイオームは、腸内や皮膚・口腔などヒトの体のいたるところに存在する細菌全体を意味します。特に、ヒトの腸内には約40兆個*に上るといわれており、ヒトの健康に大きな影響力を持っていることが近年明らかになってきています。
*Sender, R., Fuchs, S. & Milo, R. Revised Estimates for the Number of Human and Bacteria Cells in the Body. PLoS Biol. 14, e1002533 (2016)
腸内細菌叢移植(FMT)とは
腸内細菌叢移植(FMT)は、健康な人の便に含まれている腸内細菌叢を、疾患を持つ患者さんの腸に大腸内視鏡を用いて移植し、腸内マイクロバイオームの異常(ディスバイオーシス)を改善する医療技術です。順天堂大学では2014年の臨床研究開始以来、200名以上**の潰瘍性大腸炎の患者さんに対するFMTの実績を積み重ね、研究成果を複数の海外トップジャーナルに発表しています。
**順天堂大学医学部付属順天堂医院 消化器内科「潰瘍性大腸炎に対する腸内細菌叢移植」
https://www.juntendo.ac.jp/hospital/clinic/shokaki/about/treatment/intestinal_microbiota1.html
メタジェンセラピューティクス株式会社について
メタジェンセラピューティクス株式会社は「マイクロバイオームサイエンスで患者さんの願いを叶え続ける」ことをミッションとして、腸内細菌研究に基づいた医療と創薬でソーシャルインパクトを生み出す大学発ベンチャーです。順天堂大学の医師と慶應義塾大学、東京工業大学の研究者が共同創業し、「腸内細菌叢移植療法(FMT)」の社会実装と、「FMT起点のリバーストランスレーショナル創薬」を推進しています。現在メタジェンセラピューティクスでは人材採用を積極的に進めております。募集中のポジションは https://www.metagentx.com/carrers/をご覧ください。募集中のポジションに当てはまるものがなくとも、マイクロバイオームサイエンスでイノベーションを起こす仲間に入っていただける方は hr@metagentx.com までご連絡ください。
<会社概要>
会社名:メタジェンセラピューティクス株式会社(略称 MGTx)
本社所在地:山形県鶴岡市覚岸寺字水上246-2
東京事務所:東京都港区虎ノ門1丁目17-1 虎ノ門ヒルズビジネスタワー 15階
代表者:代表取締役社長CEO 中原拓
設立日:2020年1月17日
事業内容:マイクロバイオームサイエンスを活用した創薬・医療事業
URL:https://www.metagentx.com

「腸内細菌叢バンク」クラウドファンディング、目標達成!2023年内にバンク稼働開始予定
2023年06月26月 14時
腸内細菌ドナー志願者を含む支援者数150名以上、支援金額400万円以上腸内細菌研究に基づいた医療・創薬を推進するメタジェンセラピューティクス株式会社(本社:山形県鶴岡市、代表取締役社長CEO:中原拓)は、「腸内細菌叢(そう)バンク」の構築支援を募るクラウドファンディングを完了し、目標金額である350万円を達成いたしました。計151名の方からご支援をいただき、支援金額は目標金額を大きく上回る429万5千円に達しました。

腸内細菌ドナー志願者支援者数150名

◆クラウドファンディング概要
「ドナー候補募集!腸内細菌を必要な患者さんに届ける仕組みを作りたい!」
・特設ページURL
https://www.metagentx.com/microbiome-bank/
・実施期間
2023年4月20日(木)11時30分~6月17日(土)23時00分
・結果

腸内細菌ドナー志願者支援者数150名

◆クラウドファンディング実施の背景
「腸内細菌叢バンク」とは、便を提供いただける「腸内細菌ドナー」を募集、スクリーニングした後、「腸内細菌叢移植(FMT)」を行う際に患者さんに移植する腸内細菌叢溶液を便から調製し、医療機関に届ける仕組みです。また、腸内細菌叢バンクは、腸内細菌を用いた医薬品の研究開発の基盤ともなります。
今後、腸内細菌による医療や医薬品開発をさらに推進していくためには、多くの「腸内細菌ドナー」を集めることのできる「腸内細菌叢バンク」を構築する必要があります。
◆支援金の使途および今後のスケジュール
メタジェンセラピューティクスは、今回集まった支援金を用いて「腸内細菌ドナー」の申し込みおよび問診のためのWebサイト構築を進めるとともに、支援者とともに、腸内細菌叢バンクの持続可能な運用方法について検討を進めてまいります。
また、支援者のうち、ウェブ問診と腸内細菌叢検査を通過された方については、「腸内細菌叢バンク」完成後に、「腸内細菌ドナー候補者」としての登録のご案内をいたします。「腸内細菌ドナー候補者」としてご登録の後、地理的条件などの審査を通過された方には、医療機関での第2次適格性検査をご案内します。医療機関での適格性検査を通過された方には、「腸内細菌ドナー」として「献便」していただき、腸内細菌を用いた医療や医薬品の臨床研究にご協力いただく可能性があります。医療機関での適格性検査を通過し、「腸内細菌ドナー」になっていただける方は、ウェブ問診を受けた方のうち10%と推定*1しています。
なお、「腸内細菌叢バンク」は2023年内に稼働開始を予定しています。
■代表取締役社長CEO 中原拓 より

腸内細菌ドナー志願者支援者数150名

今回のクラウドファンディングの目標達成により、「腸内細菌叢バンク」の実現に大きく近づくことができました。腸内細菌叢バンクは、骨髄バンクや臍帯血バンクのように、疾患の治療を支える基盤となる可能性を秘めている新たな仕組みです。しかし、ご自身の便を提供下さる「腸内細菌ドナー」の皆さんのご協力なくしては、この仕組みを完成することはできません。今回のクラウドファンディングを通じて、多くの方が腸内細菌ドナーとして志願してくださったこと、そして支援をくださったことに、大変感銘を受けています。
メタジェンセラピューティクスは、支援者の皆さんとともに、持続可能な「腸内細菌叢バンク」の仕組みを完成させ、1日も早く、腸内細菌による治療を必要とする患者さんにお届けできるよう、より一層尽力してまいります。
腸内細菌叢移植(FMT)とは
腸内細菌叢移植(FMT)は、健康な人の便に含まれている腸内細菌叢を、疾患を持つ患者さんの腸に大腸内視鏡を用いて移植し、腸内マイクロバイオームの異常(ディスバイオーシス)を改善する医療技術です。順天堂大学では2014年の臨床研究開始以来、200名以上*の潰瘍性大腸炎の患者さんに対するFMTの実績を積み重ね、研究成果を複数の海外トップジャーナルに発表しています。
*順天堂大学医学部付属順天堂医院 消化器内科「潰瘍性大腸炎に対する腸内細菌叢移植」
https://www.juntendo.ac.jp/hospital/clinic/shokaki/about/treatment/intestinal_microbiota1.html
メタジェンセラピューティクス株式会社について
メタジェンセラピューティクス株式会社は「マイクロバイオームサイエンスで患者さんの願いを叶え続ける」ことをミッションとして、腸内細菌研究に基づいた医療と創薬でソーシャルインパクトを生み出す大学発ベンチャーです。順天堂大学の医師と慶應義塾大学、東京工業大学の研究者が共同創業し、「腸内細菌叢移植療法(FMT)」の社会実装と、「FMT起点のリバーストランスレーショナル創薬」を推進しています。現在メタジェンセラピューティクスでは人材採用を積極的に進めております。募集中のポジションはhttps://www.metagentx.com/carrers/をご覧ください。募集中のポジションに当てはまるものがなくとも、マイクロバイオームサイエンスでイノベーションを起こす仲間に入っていただける方は hr@metagentx.com までご連絡ください。
<会社概要>
会社名:メタジェンセラピューティクス株式会社(略称 MGTx)
本社所在地:山形県鶴岡市覚岸寺字水上246-2
東京事務所:東京都港区虎ノ門1丁目17-1 虎ノ門ヒルズビジネスタワー 15階
代表者:代表取締役社長CEO 中原拓
設立日:2020年1月17日
事業内容:マイクロバイオームサイエンスを活用した創薬・医療事業
URL:https://www.metagentx.com
出典:
1. Benard, M. V. et al. Challenges and costs of donor screening for fecal microbiota transplantations. PLoS One 17, e0276323 (2022)